はじめに:なぜ生活サポートが重要なのか
技能実習制度を活用する企業にとって、就労面の指導や教育はもちろん重要ですが、それと同じくらい大切なのが「生活面のサポート」です。実習生にとっては、日本での暮らし自体が初めての体験であり、不安と戸惑いの連続です。生活が安定しなければ、就労への集中力も下がり、最悪の場合は失踪につながるリスクもあります。だからこそ、企業と協同組合が連携し、実習生の生活環境を丁寧に整えることが求められます。
技能実習生が直面しやすい生活面での課題
技能実習生が来日後に直面しやすい課題には、以下のようなものがあります。
- ゴミ出しのルールが分からない
- 銀行口座の開設や保険の手続きが難しい
- スーパーでの買い物や交通手段が分からない
- 病院の行き方や薬の受け取り方に不安がある
- 母国の文化と異なる生活習慣に戸惑う
これらは日本人にとっては当たり前のことでも、実習生にとっては全てが初めてのこと。受け入れの初期段階で、こうした生活面の不安をできるだけ解消してあげることが、仕事への集中と精神的安定を支える基盤となります。
生活支援において最低限必要なサポート
では、受入企業や協同組合はどのような生活支援を行うべきなのでしょうか。以下のようなサポートが基本となります。
支援カテゴリ | 内容 |
住居準備 | 家賃相場に配慮した物件の手配、家具・家電(ベッド、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など)の設置 |
生活案内 | ゴミ出しルール、近隣スーパーや交通機関の案内、行政手続き(住民票・保険など)への同行 |
通信環境 | Wi-Fiの整備、スマホ契約のサポート |
就業前オリエンテーション | 職場のルール説明、安全衛生、会社マニュアルの説明 |
緊急対応 | 夜間のトラブルや体調不良への連絡体制の確保 |
これらを丁寧に行うことで、実習生は「安心して暮らせる」という心理的な土台を得ることができます。以下の写真は私たちの送出し人材が日本で撮った集合写真です。このように日本でもお仕事をしながら充実した日々を送れていることを知ることで喜びを感じます。

支援が行き届いていないケースと失踪の関係
生活サポートが不十分な場合、実習生は「相談できる人がいない」「日本に来て良かったのか分からない」と感じ、孤立します。実際、失踪してしまった実習生の多くは、仕事だけでなく生活面でのトラブルを抱えていたというケースが少なくありません。
例えば、「住居が極端に狭い」「冷暖房が使えない」「困っても誰にも相談できない」などの声は、全国で報告されています。生活に対する不満が積み重なり、「もっと良い職場・環境があるのでは」という気持ちが失踪へとつながるのです。
協同組合と受入企業の連携が重要
生活支援は、協同組合だけで完結するものではありません。実際に生活する環境は企業の近くにあるため、協同組合と企業が連携しながら、サポートの役割分担を明確にする必要があります。
定期的な面談や訪問指導を通じて、実習生の心の声を拾い上げる体制づくりが、長期的な定着につながります。
AIBOUグループの生活サポートの取り組み事例
AIBOUグループでは、実習生が安心して生活をスタートできるよう、入国前から次のような支援を行っています。
- 入国前教育でのサポート:日本人講師による、お仕事に必要な用具や生活用品の使い方、日本文化の基本的なマナー、ゴミの分別ルールなどを事前に指導。
- 宗教・文化への配慮:イスラム教徒の方に対しては、礼拝の時間・場所の確保や食事(ハラール)への配慮も徹底。
- メンタルサポート:入国後すぐの面談やヒアリングを通じて、不安や悩みを抱え込まないようサポートする体制を整備。
このように、就労以前の段階から生活を見据えた教育と配慮を行うことで、実習生の「来てよかった」という気持ちを生み出しています。
まとめ:人として向き合う姿勢が最大の支援
生活サポートはマニュアルだけで解決するものではありません。大切なのは、「人」として実習生と向き合うことです。仕事の技術だけではなく、生活全体に気を配り、何かあったら気軽に相談できる存在であること。それこそが、彼らの成長を支える一番の要素です。
AIBOUグループでは、「管理する」のではなく「一緒に歩む」スタンスで、実習生と受入企業の双方にとって、より良い関係づくりをサポートしています。
補足:AIBOUグループだからできること
私たちはこれまで延べ200名以上の外国人材を雇用してまいりました。その経験やノウハウを通じ、外国人を最適に雇用する方法を体得しております。そのため、技能実習生のサポートだけではなく、技能実習生を雇用している受入企業へのコンサルティング支援も可能でございます。