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はじめに


近年、日本の人手不足が深刻化する中で、外国人材の受け入れは避けて通れない課題となっています。その中でも「技能実習」と「特定技能」は、多くの企業が検討する主要な在留資格ですが、両者の違いを明確に理解している企業は意外と多くありません。本記事では、両制度の違いを分かりやすく整理し、受け入れ企業がどのように選択すべきかを解説していきます。

特定技能とは


特定技能とは、日本国内で一定の専門性や技能を持った外国人を労働者として受け入れるために、2019年に新たに創設された在留資格です。特定技能には以下の2種類があります。

  • 特定技能1号:一定の技能・日本語能力を持つ外国人向け(在留期間は通算5年まで)
  • 特定技能2号:より高度な技能を持つ外国人向け(在留期間更新可能、家族帯同も可)

対象業種は、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、建設、造船、自動車整備、外食業、農業など現在16分野に限定されています(以前まで12分野でしたが、2024年3月に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野の追加が決定しました)。特定技能を取得するには、対象の外国人材は、原則として技能試験と日本語試験に合格する必要があります。

特定技能の歴史


特定技能制度は、2019年4月に新設されました。背景には、既存の技能実習制度に対する「本来の目的(技能移転)と労働実態のズレ」や、企業側の「即戦力人材確保ニーズ」がありました。 政府は、技能実習制度だけでは補えない労働力不足に対応するため、「即戦力の外国人労働者を、より柔軟に受け入れる制度」として特定技能を位置付けました。このため、特定技能は「労働力確保」が明確な目的であり、制度設計段階から企業ニーズを重視した柔軟な仕組みが取り入れられています。

特定技能の直近動向


特定技能制度は導入当初こそ認知度不足やコロナ禍の影響で伸び悩みましたが、直近では急速に拡大しています。2024年6月末時点の特定技能外国人数(1号のみ)は25万1594人となり、急成長しています(※出典:出入国在留管理庁 特定技能在留外国人数統計)。

国籍別では、以下の順に多く、ベトナム人が全体の約50%近くを占めています。

  1. ベトナム
  2. フィリピン
  3. インドネシア
  4. ミャンマー

業種別では、「介護」「農業」「建設」「外食業」が人気分野となっており、特に介護分野では技能実習制度よりも特定技能を希望する外国人が増えています。

特定技能が人気になってきた理由


特定技能が人気を集めている理由は以下の通りです。

  • 転職が可能(働く側にとって魅力的で求職者が集まりやすい)
  • 即戦力志向(受け入れ企業側も、試験合格者=一定スキル保証のため安心感がある)
  • 在留期間更新や家族帯同(2号)など長期キャリア形成が可能

一方、受け入れ企業側にヒアリングをすると、実際には明確な理由がなく、「なんとなく(技能実習生比較で)特定技能の方が良さそう」という感覚で選ばれているケースも多い状況です。

技能実習生と特定技能の違い


実際に、技能実習と特定技能にはどのような違いがあるのでしょうか?
以下にまとめました。

大きな違いは「目的」「転職の可否」「給与額」であり、対象職種は一部違いがあるものの、大きな違いはないといった印象です。

受入企業はどう選択すべきか?


技能実習か特定技能か。受け入れ企業は、以下の視点で判断するべきです。

◾️特定技能を雇用すべき企業

  • 欲しい職種が技能実習で対応していない
  • 自社で外国人材の管理や支援業務ができる

◾️技能実習生を雇用すべき企業

  • 中長期的に人材を成長させたい
  • 雇用した人材が早い段階で転職して欲しくない

前途した特定技能の国籍別人数ではベトナムが1位でした。これは、ベトナムで特定技能人材が見つけやすいという理由ではなく、元々技能実習生として日本へ入国し、期間終了後に、特定技能に切り替え継続的に日本でお仕事をしている人材が多いためです。このように技能実習から特定技能に切り替えることで長期的な雇用が可能となります。技能実習期間(転職ができない期間)で企業と技能実習生が関係性を構築することで、特定技能に切り替えた後も定着率を上げることが可能です。

しかし、私たちが企業様からヒアリングをして感じることは、明確な理由なく、なんとなく特定技能を選んでいる企業様が非常に多いという事実です。理由は、「特定技能の方が日本語を話せそうだから」「周りで技能実習生のトラブルを聞いたので」といった内容です。これはあくまで憶測で、技能実習生の本来のメリットを正確に把握できず判断をしております。特定技能の場合、対象の外国人材が母国でテスト(実技/筆記)に合格することで日本での就労が可能となります。そのため、テストに合格できる読み書き力はあるが、話す・聞くを苦手とする特定技能人材も少なくありません。むしろ、これまでの経験を踏まえると、私たちの技能実習生より話すことが得意な特定技能人材を探すことは非常に難易度が高いと考えています。

まとめ


技能実習と特定技能は、目的も運用方法も異なる制度です。まずは貴社の現在の採用状況や今後の経営方針を加味し、どのような人材が必要かを明確に定義することが必要です。その上で、どの在留資格にすべきかのご検討に移ります。私たちは、貴社の採用方針/戦略策定のご支援から、適切な在留資格の人材を貴社へご案内することが可能です。

まずは、弊組合「お問合せ」より貴社のお悩みや課題をお聞かせください。オンライン/対面にてヒアリングと弊組合より解決方法のご提案をさせていただきます。

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